映画座

「小さい頭巾」と「枕の掃除」と「トンヌラ」による、映画のレビューブログ。楽しければいいじゃない。そんな我々の遊びの場。Twitter ID:@coldish1014

終わらない日常 日本アニメ史に多大な影響を与えた押井守の最高傑作!

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どうも、『枕の掃除』です。
楽しい時間と言うものはあっという間に過ぎていくもので、こんな日常が永遠に続いていったらいいのになぁ。とは、誰しもが考えることでしょう。もしもそんな夢のようなことが現実に起きていたとしたら……!?

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

 

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あらすじ
学園祭を明日に控えた友引高校は上を下への大騒ぎ。あたるたちは連日学校に泊まり込み、学園祭の準備に大忙しだった。ある時、♨や錯乱坊が姿を消し、町には、異常事態が次々発生。真相究明委員会を結成したあたるたちが、面堂のハリアーに乗り込み宇宙から町を見下ろすと…!なんと、友引町だけが巨大なカメの上に存在していたのだ!その日から町の様子は一変。あたるたちのサバイバル生活が始まったのだった…。


うる星やつら ビューティフル・ドリーマー 予告編


まず何と言っても開始早々荒廃した友引町物寂しげなBGM
これだけで面白そうじゃないですか!

 

荒廃した近未来映画、通称ディストピア映画と呼ばれるこのジャンル、このジャンルどうしてこうも人の心を掴むんでしょうね。
私の好きな『WALL・E/ウォーリー』とかもこのジャンルだし、きっとみんな現実離れした非日常が好きなんですね。


そして場面は変わり学園祭前夜の友引高校
はい、でました。学園祭前夜。
学園祭の準備期間中ほど楽しいのが忙しい時間もないでしょう。



物語は、この学園祭前日の友引高校から始まります。
それにしてもうる星やつらはどのキャラクターも魅力的でいいですよね。
校長もまさか自分の頭の上にいつ落ちてくるかもしれない40トンの戦車があるとは知らず「ネズミかな?」なんて悠長に構えてるし、後述するメガネのあの長台詞といい、ギャグも冴えてるのが素晴らしい!

しかし常にどんちゃん騒ぎで終始楽しそうではあるものの、観ていると次第にある違和感に気が付くことでしょう。


「せいぜい頑張ることだな、残すところ今日一日、明日は学園祭の初日じゃからな」


「しっかり頼みますよ先生、あと一日、明日は学園祭初日ですからな」


みなが口々にする「明日は学園祭初日」という言葉、おやおや何かが変ですね~
それだけじゃなく、みんな家に帰れずあたふたとしてますね~

お気づきのようにそうですが、
そうです、何とあたるたちは

同じ一日を永遠とループしてたのです!
そしてあたる達は友引町から出られなくなっていたのです!


今となってはよくある設定と思われるかもしれませんがこの設定、なんとアニメではこの映画が最初に取り入れた設定なんです!
後にハルヒやまどマギなどもこの設定を使っていますが、ここに原点があったとは……


話は戻ってあたる達はこの異常事態を対処すべく、真相究明委員会を結成。
面堂の所有するハリアーで友引町からの脱出を試みることに。

するとそこには巨大なカメの上に乗った友引町の姿が!

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幼少時代、私が初めてこの映画を観たとき、私は幼心ながら映画とはどういうものであるかというのをこのシーンから悟ったのをよく覚えています。それぐらい衝撃的なシーンでした。


そしてこの時より、西暦は終わります。
この異様な現象に立ち会ったメガネ氏は後にこう語っています。

「私の名はメガネ。かつては友引高校に通う平凡な一高校生であり、退屈な日常と戦い続ける下駄履きの生活者であった。だが、あの夜、ハリアーのコックピットから目撃したあの衝撃の光景が私の運命を大きく変えてしまった。ハリアーであたるの家に強行着陸したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとくその装いを変えてしまったのだ。いつもと同じ町、いつもと同じ角店、いつもと同じ公園。だが、なにかが違う。

~中略~

あの運命の夜からどれ程の歳月が流れたのか。しかし今、我々の築きつつあるこの世界に時計もカレンダーも無用だ。我々は、衣食住を保証されたサバイバルを生き抜き、かつて今までいかなる先達たちも実現し得なかった地上の楽園を、あの永遠のシャングリラを実現するだろう。ああ、選ばれし者の恍惚と不安、共に我にあり。人類の未来がひとえに我々の双肩にかかってあることを認識するとき、めまいにも似た感動を禁じ得ない。
メガネ著 友引全史第一巻 終末を越えて 序説第三章より抜粋」

これはビューティフル・ドリーマーのなかでも指折りの名シーンでしょう。
この映画の特徴として、やけに長いキャラクターの語りが随所にあるのですが、これはずば抜けて長い。時間にして3分強!
これが友引全史第一巻の序説第三章って言うんだから、メガネは一体どんな歴史書を綴ろうというのか……

それにしてもこのシーンのBGM、何だこの綺麗な音は!?
本当にギャグアニメに使われるBGMなのかと疑がいたくなるほど素晴らしい音色!
ストーリーだけでなく、音楽が素晴らしいのもこのビューティフル・ドリーマーの特徴ですね。



どうですか
観てみたいと思ってもらえましたか?
私もいろいろな映画を観てきましたが、正直無人島に一本しか映画を持っていけないとしたら、この映画を選ぶと思います。それほど私の中では特別な作品です。
アニメが好きな人、SFが好きな人、押井守が好きな人、何でもいいから映画が好きな人、ぜひこの映画を観てみてください。おすすめです!