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映画座

「小さい頭巾」と「枕の掃除」と「トンヌラ」による、映画のレビューブログ。楽しければいいじゃない。そんな我々の遊びの場。Twitter ID:@coldish1014

闘う漢の闘魂映画

どうも、『枕の掃除』です。
みなさんは「試合に負けて勝負に勝つ」という言葉をどのように思いますか?
「勝負事なんだから勝たなきゃ意味がない」
「そんなのは単なる自己満足でしかない」
確かにそのような意見も一理あります。しかしその人にとっては試合に勝つことよりも重要なことだとしたら、自己満足の何がいけないのでしょう。
今回紹介する映画は、自分が自分であることを証明するために闘う人間の物語です。



ロッキー

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このロッキーという映画、みなさんはどのような映画か知っていますか?
ボクシング映画ってことは知ってる。
名前だけは聞いたことある。
音楽なら聴いたことある。
知らない……

様々なスタンスの方がいると思います。
まずはじめに、ロッキーを観たことのない人が勘違いしているであろう誤解を解いておきたいと思います。

ロッキーは決して脳筋映画なんかではありません!
脳筋映画もそれはそれで好きだけど、それはまた次の機会に)

ロッキーを一言で表せば、それは人生そのものと言えるかもしれません。それほど普遍的な人間ドラマを描いています。

仕事といえばボクシンと借金の取り立てを兼業し、周りからはクズと呼ばれ、自分が何者であるかもわからないような最低な暮らしをしているなかで、巡ってきた人生最大のチャンス。世界王者がなかばショーとしてロッキーを試合相手に指名したことで、ロッキーの人生は大きく変化していきます。

やるか、やらないか

人生最大のビックチャンスではあるものの、相手は世界王者。引退間際の三流ボクサーが歯の立つ相手ではないことは百の承知。それでも、もし、最後までリングの上に立ち続けることができたのなら、自分はクズなんかではないことを自分に証明できる。だからやるんだ!!!

これがロッキーです。

単に試合に勝った負けたの話しをしているわけじゃないんです!


自分が自分であるために闘うんです!


世界王者との闘いである前に、これは自分との闘いなんです!

先ほど私はロッキーとは人生そのものと言いましたが、みなさんも身に覚えがあるのではないでしょうか。鬱屈した生活の中で、何かを見出したくてがむしゃらに努力したこと。反対にチャンスを目の前にしながら尻込もんでしまい、みすみすチャンスを不意にしてしまったこと。普遍的なテーマであるからこそ観ていて人の心に刺さるものがあるんです。確かに試合に勝つことも大切なことでしょう。しかしそれよりも大切なことだって現実世界にはあるじゃないか!そういう映画です。



ロッキーを語る上で欠かせないのが、やはりシルベスター・スタローンという俳優についてです。今でこそ大物俳優の一人であるスタローンですが、ロッキーがなければ彼の人生も違ったものになっていたでしょう。スタローンが一躍有名になったのも紛れもなくこのロッキーがヒットしたおかげですが、ロッキーが公開された時、スタローンは既に30歳で役者としてはかなり遅咲きでした。

それもそのはず、スタローンの映画を観た人ならわかると思いますが、スタローンはかなり滑舌が悪く、そのせいで役者としてはなかなか芽を出すことができないでいました。売れる前のスタローンはポルノ映画なんかにも出ながらなんとか役者になる夢をかなえようと必死になっていました。

そんなあるときテレビで観たモハメド・アリ対チャック・ウェプナーの試合に感銘を受け、ロッキーの脚本を三日で書き上げます。そして格安の予算であることを条件に主役のロッキーをスタローン自身が演じることに決まります。ここからスタローンの新しい役者人生が始まると思うと、まさにスタローンとロッキーは一心同体なんだとしみじみ思います。

またスタローンのなまった英語と、のらりくらりしたような演技がロッキーの不器用な性格を見事に表現していると思います。特にペットショップへ通いつめ、エイドリアンを口説いていくシーンと扉越しにミッキーに怒鳴りつけるシーンは、不器用さゆえになかなか素直になれないロッキーの人間性が表れており、その人間臭さがロッキーの魅力となっていると思います。


ロッキーのもう一つの魅力と言えば、やはり音楽ではないでしょうか。ロッキーの映画は観たことがない人でも、音楽だけは聴いたことがある人は多いと思います。中でも有名なのは、ロッキーがトレーニングするときに流れるGonna Fly Now


rocky soundtrack gonna fly now

と試合の終盤に流れるGoing the distance


Rocky Soundtrack - Going The Distance

ではないでしょうか。この2曲を聴いていると何か自分も頑張らなくちゃと心の内側から熱く込み上げてくるものがあります。それが映画内のロッキーの心情と重なり合って、ロッキーも応援するし、自分もやってやると勇気づけられるし、映画を観てこれほどまで心を突き動かされる体験もなかなかないと思います。
それほどロッキーは、ての努力する人間を鼓舞する素晴らしい映画だと思います。


最後に
私は好きな映画のジャンルとして、ボンクラ野郎が自分たちのやり方で努力して、世間を見返す系の映画が好きです。なぜなら映画を観ている自分自身がボンクラだからこそ、最後の最後に最高のカタルシスを味わうことができるからです。人生に退屈してルサンチマンため込んでるような人には是非、このロッキーを観てもらいたいです。そしてみんなで一緒に叫びましょう。

 


「エイドリアーン!」