映画座

「小さい頭巾」と「枕の掃除」と「トンヌラ」による、映画のレビューブログ。楽しければいいじゃない。そんな我々の遊びの場。Twitter ID:@coldish1014

あの日あの時あの場所で……

どうも『枕の掃除』です。

もしも過去に戻ることができたらなんて話はよく耳にしますが、みなさんは真剣に考えたことはありますでしょうか。

 

私は高校2年の学園祭の時期に戻ってみたいです。

もっと言えば、学園祭翌日の、あの瞬間の、あの駅のホームに戻ってみたいですが……なんて自分語りはさておいて

 

誰しもが過ぎ去る時の流れに逆らって、過去に戻ってみたいと思うのではないでしょうか。

今回紹介する映画は、ひょんなことから時間を巻き戻してしまう能力を身に付けた、少女の物語です。

 

時をかける少女

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あらすじ

尾道の高校に通う16歳の芳山和子は、土曜の放課後、理科室を掃除中にフラスコからこぼれた不思議な液体のにおいをかいで昏倒してしまう。覚醒した和子は、その香りがラベンダーのものであることを確信する。その直後、和子は時間を超える能力を持つようになった。和子は意を決して同級生の深町一夫にそのことを告げると……。

 

 

 

今回はこの1983年公開の角川映画大林宣彦版「時をかける少女」についてレビューしていきたいと思います。

まずこの「時をかける少女」というお話は筒井康隆の小説が原作で、何度も映像化されていることでも有名です。

 

本来であれば細田守版のアニメ「時をかける少女

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谷口正晃版の仲里依紗主演「時をかける少女

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この3作品の比較でレビューを書こうと思ったのですが、どうしても谷口正晃版が観る事が出来なかったので、大林宣彦版単体で書くことにしました。

いつか細田守版との比較は書いてみたいですが、それはまたいずれ…

 

 

さて、大林宣彦版の「時をかける少女」ですが、簡潔に感想を述べますと

しゃべりは棒だし、演技は拙い

それでも好きだ!

 

そんな映画でした。

 

 

確かに口を開けば、文字がそのまま出てきたかと思うような話し方に、高校生役の子たちの演技は観てるこっちが恥ずかしくなります。

 

 

それでも嫌いになれない理由は、芳山和子役の原田知世のかわいらしさ。そして大林宣彦監督の演出力によるものだと思います。

 

 

まず原田知世は、角川・東映の大型新人発掘のためのオーディションで「角川映画大型新人募集」特別賞を受賞し、芸能界に入ります。

そして1983年にこの「時をかける少女」で映画初主演になるわけですが、何と言ってもこの原田知世が魅力的。

女優ですからアイドルという表現は間違っている気もしますが、まさにアイドル映画のような、彼女の一挙手一投足に心を踊らされます。

 

今の平成の時代にはない、良き昭和のあどけなさ、とでも言えばよいのでしょうか、そんな魅力が随所に感じられました。

 

 

次に大林宣彦監督の演出で、クライマックスには正直驚きました。

ふたりが崖から飛び降りて、土曜日の実験室に戻るまでの写真のコマ撮り演出。

音楽と相まって、頭がくらくらしてきます。(もちろんいい意味で)

 

極めて実験的な演出にもかかわらず、なぜかあのシーンが私の心を掴んで離さないです。あのシーンがあるからこそ、棒のセリフ拙い演技原田知世のかわいさ、それら全部をまとめて、この映画の魅力に仕立て上げているようにも思います。

 

ともすれば学芸会レベルで終わってしまうようなお話が、映画として、傑作として成立している。その背景に監督の手腕を感じさせます。

 

物語は今回、深くは追究しませんが、ハチャメチャはハチャメチャです。

それでもいいんです。

繊細そうでぶきっちょな物語が、映画の中の彼らと重なって、なぜかマッチしてしまう。まさに映画のミラクルです。

そしてラストのエンドロール


時をかける少女ending

 

ダメなところもいっぱいある映画でしたが、それも含めて好きな映画です。