2017-04-01 小さき者が世界を救う ファンタジー映画の金字塔 映画レビュー 枕の掃除 どうも『枕の掃除』です。今回紹介する作品は、ファンタジー映画の中でも私が特に好きな作品です。ロード・オブ・ザ・リングあらすじ全てを統べる邪悪な指輪。この指輪がサウロンの手に渡れば、世界は暗黒に支配されてしまう。指輪をこの世から葬り去る方法は一つ。滅びの山へ行き、その火口に指輪を投げ捨てること。あらすじを簡潔にまとめるとこんな感じです。サウロンというのは敵のボスだと思ってもらえれば大丈夫です。やけに短くあらすじをまとめましたが、この映画、決してこんな単純な話ではありません!何といってもこの作品3部作構成になっており、劇場公開版で合計約10時間!その後発売された、完全版(SEE版)では驚きの合計約11時間20分!!!このボリューム……全部見るのはちょっと大変かも……そんなこと考えてるあなたはっきり言います。時間なんて全く気になりません。むしろもっと見ていたいと思わせるほどです。その証拠にアカデミー賞ではシリーズ合計で30部門にノミネートされ、17部門で賞を受賞しています。3作目の王の帰還に至っては『タイタニック』や『ベン・ハー』と並んで最多の11部門で受賞しています。このことからも分かる通り、ロード・オブ・ザ・リングは誰が見たって面白い映画なんです。では具体的に何が面白いのか。私が思うに以下の2点がこの映画の魅力だと思います。① ファンタジー映画ならではの個性的なキャラクターこの映画の舞台となる中つ国では、人間、エルフ、ドワーフ、ホビットと、様々な種族が暮らしています。それぞれの種族には種族ごとの暮らしがあり、みな異なった文化を持っています。主人公であるフロド・バギンズはホビット族で争いを好まず、豊かな自然の中で暮らしています。ホビット族の特徴としては身長が1メートルほどしかなく、力もさほどありません。そんな彼がどうやって世界を救うのか?もちろん彼だけの力ではどうすることもできません。信頼できる仲間がいるからこそ彼は旅を続けられるのです。ホビットの仲間であるサム、ピピン、メリー魔法使いのガンダルフ人間のアラゴルン、ボロミアエルフのレゴラスドワーフのギムリそろいもそろって曲者揃い。喧嘩もするし、ドジもする。それでも心強い仲間。この面々を見て、あれ、ホビットいらなくない?そう思ったあなたはっきり言います。彼らがいなければ、世界、滅んでますよ?背が小さい?力が弱い? だからなんだーーーーーーーーー! 彼らの内に秘めた心の強さは、どの種族にも負けません! ホビットの強さが表れている私の好きなシーンで、黒門に突撃をかけるシーンがあります。このシーン、はっきり言って勝ち目のない戦いです。わざわざ死ににいくようなものです。それでも戦わなければならない理由があり、みなそれを理解していました。それを理解したうえでアラゴルンは必死に兵士を奮い立たせます。そして単身敵に突っ込んでいきます。そのあとに続いていったのは、力も強く、身体も大きな兵士…ではなく、小さなホビットであるメリーとピピンでした。もちろんそのあとに続いて兵士たちも走り出すのですが、このシーンがあることで、ホビットという小さな種族であるにも関わらず、世界を変えるに足る強い心を持っていることを表現しており、単純な力がすべてではないということがわかります。② 王道のストーリーこの映画、カタルシスの与え方は基本ワンパターンです。絶体絶命のピンチ、もうダメかとあきらめかけたその瞬間……からの!?基本これです。ただ、それが単調だとか、退屈だとか、そんなことは一切思いません!なぜならそこに至るまでの伏線の手際よさであったり、合戦の同時攻略であったりと演出の仕方が巧妙であるため退屈になんて全くしません。むしろ情報量の多さにびっくりするかもしれません。それほど作りこまれた世界観であると言えます。物語としては指輪を捨てに行くという一本の大きな筋がありますが、この映画、それだけではありません。物語全体の主人公はフロドというホビットの若者ですが、アラゴルンという人間もまたもう一人の主人公です。王子がならず者として生き、そして王となる。王子が王になるために成長していく、古典的なお話ではあるものの、やっぱりみんなが好きな展開とも言えるでしょう。完璧な人間ではない自分の弱さを自覚しながらも、王として民を導いていく。その人間としての成長に心を打たれます。そのアラゴルンを成長させてくれるのがフロドであり、ホビット達です。フロドの物語上の進行が、同時にアラゴルンの成長につながっているため、二つの物語が邪魔をしあうことは一切ありません。最後に語りたいことの尽きないこの映画ですが、(サムとシェロブの戦いとか、レゴラスとギムリの関係とか、映画上での女性の描かれ方とか)何はともあれ、観てください。確かに長い映画ではあります。しかし、それ以上に心に残るものがあります。力なき者が世界を変えるその瞬間を目に焼き付けてください。これを監督ピーター・ジャクソンでニュージーランドが全面バックアップして作ったなんて今でも信じられません。ただ言えるのは、J.R.R.トールキンありがとう。ピーター・ジャクソンありがとう。ニュージーランドありがとう。ファンタジー映画の最高傑作であり、愛と勇気の冒険アドベンチャーを是非ご覧ください。