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「小さい頭巾」と「枕の掃除」と「トンヌラ」による、映画のレビューブログ。楽しければいいじゃない。そんな我々の遊びの場。Twitter ID:@coldish1014

就活で戦う若者の物語!『何者』

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こんにちは。

 

小さい頭巾です。

 

皆さんは就職活動というものを経験したことがあるでしょうか?

 

この先の人生を決める大きな大イベント

 

 

『就活』

 

あれほど他人に気を使うイベントは人生においてなかなかないでしょう。

 

面接官に悪い印象の持たれない言葉を選びその上で何倍にも盛ったエピソードで己の過去を改変しては、グループワークではあたかも短時間で結束力を固めたかのように"魅せる"パフォーマンスをする。

 

それが就活です。

 

1を100にするトークや働きができ、なおかつそれを相手に見透かされなかった者だけが勝利する究極のサバイバルゲームです。

 

そして自分自身という一番付き合いの長い人間と向き合い、自分自身をセルフ分析し、短所は捨て、長所だけを残し、そうやって本来の自分と乖離した都合の良い人間を創り上げ、その創作物をオークションに出展させるのです。

 

もはや就活しているのは誰なのでしょう。

 

自分でしょうか。

それとも架空の人物なのでしょうか。

 

自分を原作とし改変に改変を行った結果、その作品は佳作となったか駄作となったか、はたまた神作となったのか。

 

それを判断するのは面接官。

 

会社に迎えてくれるのか、それとも一斉送信による心無きお祈りメールを送られるのかどうか。

 

それを決めるのも面接官。

 

怖えよ。

 

怖すぎんだろ。

 

……就活怖え。

 

 

ていうか怖かった。

 

正直もうやりたくないですね。

 

ちなみに僕は就活していた頃、一つ目標を立てて就活をしていました。

 

その目標は

 

『面接官を笑わせること』

 

真面目な顔してその場の空気を作る面接官をこちら側が笑わせることで、むしろその場の空気をコントロールしようと思ってました。

 

というのも面接官の人たちはどういうわけか凄い重々しい空気を作ってくるし、そのせいで話しづらいじゃないですか。でもそいつらを笑わせることで一気に和んで凄い話しやすくなるんですよ。

 

というわけで僕は就活をしていたというより面接官に笑いを届けていたのです。

 

ただそれを続けていった結果、今いる会社の最終面接で

『高校のプールの時間に水着が破れてケツ丸出しで平泳ぎしていた』

話をすることになるとは思いませんでしたが。

 

まさかのケツ採用です。

 

そんなわけで前置きが長くなりましたが今回は就活を舞台とした映画

 

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『何者』を紹介したいと思います。

 

 

 あらすじ

 

 就職活動対策のため集まった5人の大学生。各々様々な方法で就職活動に励むが、その努力とは裏腹に、そこには本音や嫉妬といったマイナスの感情が渦巻いていた。果たして五人の人間関係は就職活動を通じてどのように変わっていくのだろうか。

 

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さてさて前置きで話しましたが、就活というものに付き物なのは自分自身を盛るという行為。本性を隠して建前だけで会話するなんてよくあることです。

 

そして悲しいことにそれは面接官に対してだけではなく、近くにいる同じ境遇にある友人にすら建前での会話が増えるのです。

 

その声援は心の底から発しているものなのか。祝いの言葉も本物か。自分の近況報告は謙遜なのか自慢なのか。もうわかりません。

 

と、そんな書き方をすると

「お前の友人関係どうなってんだよ。ライアーゲーム会場で知り合ったやつらなの?」

と思われそうですが、まぁ僕の場合そこまでギスギスしたものはなかったです。案外皆普通にしてました。多分。おそらく。

 

ただこの映画に出ている登場人物達はそうはいきません。観客にもひしひしと伝わってくる居心地の悪さ。自分自身の正当化と、屁理、そしてわざとらしく曝け出す自信

 

予告では『青春が終わる』という言葉で青春映画のように謳っておりますが、これは表にあるキラキラとした青春なんかではなく、裏側の暗い暗い青春です。

 

青春というより、これは相手を蹴落とす戦いに近い。

 

もうね。

 

本当は心の中で何を考えているんだろう、と思うだけで怖い。

 

特に二階堂ふみ演じる

 

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この理香という人物。

 

このキャラが発する言葉はもう、観ていられないくらいでした。

 

とんでもなく自信家なのに内定を取れていない彼女の言葉はとてつもなく痛い。自分自身をアピールしたいがために協調性をかなぐり捨ててしまっているのも、やけに就活頑張ってますアピールするのも、一緒に頑張ろうみたいな空気を出しながら自分のことしか考えていないところも……

 

マジでこういう奴いる!!!!

 

ってなるんです。

そういうリアルさが実に面白い。登場人物の全てがどこか居そうなやつなんです。だから特に就活を経験したことがある人は

 

いたいたこういう人!!!

といたるところで感じること間違いありません。

 

あの時のそういった人たちが一体どんな気持ちで、そしてどんな本性を持って就活に挑んでいたのか……フィクションとは思えないリアルな感情がこの映画にはあります。

 

そしてラスト。

岡田将生演じる隆良のとある一言で、ある真実が浮き彫りになります。そこからはもう鳥肌立ちっぱなし。

 

建前が消え、本音ばかりが怒涛の勢いで流れていきます。

 

あああああああ止めてくれぇぇぇえ!!!

抉らないでくれぇぇぇぇえ!

 

って思いながらも目が離せませんでした。

 

就活で内定を貰うということはある意味究極に承認欲求を満たされる事柄。

内定を貰えればそれは自分が認めてもらえた証拠なわけです。それがされない人間はどこでそのストレスを解消し、そして代わりにどこで承認欲求を満たそうとするでしょうか?

 

現代だからこその物語と、人間模様。

 

面白かったです。

 

今年就職活動の予定がない人にオススメです。

 

今年就活の方は終わってから観ましょう。

 

それでは小さい頭巾でした!

 

 

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