映画座

「小さい頭巾」と「枕の掃除」と「トンヌラ」による、映画のレビューブログ。楽しければいいじゃない。そんな我々の遊びの場。Twitter ID:@coldish1014

映画を撮りたくて何が悪い

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中学の頃から僕には夢がありました。


その夢とは……映画を制作すること。

大作映画のような金のかかった映画である必要はありません。

数人の同志である仲間と考えに考え抜いた練り込まれた最高のストーリーを、最大限に引き出すための演出とキャラクタ、それらを携えて現場にて撮影を行い、綿密な編集を経て完成させる……つまり重要なのは金ではなく映画を作りたいという熱意と面白いものを作り上げるんだという覚悟です。

 

演技力はないかもしれません。

 

技術力もないでしょう。

 

しかしその作品一本に賭けた想いだけは大金をかけた映画に負けません。そして完成させた作品はまず仲間内で上映するのです。世界唯一の単館上映です。みんなでここが良かったとか、この撮影は楽しかったなんて言いながら、そしてまた次回作のことを話し合うんです。

ああ、もう最高ですね。青春ですよ。

いわゆる自主制作映画ってやつ。とにかくそれを撮ることが夢だったんですね。

そして数年後……大学にて僕はそれを実現させます。

 

僕が入った大学には映画制作をするサークルがありまして、バイトに明け暮れる予定だった僕の大学生活はそのサークルの存在によって予定を大きく変えてしまったわけです。もう入るしかないじゃないですか。かねてからの夢が叶うわけですし。

 

そしてサークルに入った僕は大学での4年間、基本サークルのことしか考えていない人間になったわけです。暇さえあればサークルの友人と映画製作の話でした。映画を観るのは楽しいです、しかし映画を撮るというのもすこぶる楽しかった。あの4年間は僕にとってどれも特別な思い出です。

後輩の女の子の足にケチャップぶっかけたりとか

女の子の走る足を撮影したりとか

制服着てもらったりとか……

 


どれも良い思い出ですね!

 


勘違いしないでください、あくまで楽しかったのは撮影ですよ。


監督という立場をいいことに、趣味全開で映画を私物化しようとなんて思ってません。本当です。はい。

 

ということでまた自分の話が長くなりました。最近「自分の話長いのは字数稼ぎたいだけだろ」と友人から指摘を受けましたが、違います。

何も考えないで書いているからこうなるだけです。

さて、だからと言って先の長話が今回紹介する映画とまるで関係ない話というわけではありません。結局僕が言いたかったのは

映画を撮るって最高だよってこと。
そこに熱意覚悟があるとさらに最高だよってこと。

僕が今回紹介する映画はこちら。

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地獄でなぜ悪い。


〜あらすじ〜

抗争中のヤクザの組長である武藤と池上。十年前より武藤の奥さんはとある事情で刑務所におり、娘のミツコが女優として成長し映画で活躍していると信じていた。しかし実際のミツコは主演女優を降ろされたばかり。あと十日で出所する奥さんのために武藤はヤクザでありながら娘を主演に映画製作をすることを決意。映画を撮影したい平田とたまたま巻き込まれてしまった公次、とにかく様々な人を巻き込んで・・・・・・池上との現実の抗争を撮影するハチャメチャ映画撮影がスタートするのです。

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と、こんな感じでございます。

 


〜映画の見所〜

さてこの映画、ジャンルはコメディでございます。

監督は園子温監督。

と、聞くと何となく残虐描写過多なイメージがあると思います。

はい、まったくその通りです。

今回のこの作品でも監督らしさ爆裂の流血表現のオンパレードでございます。ですのでそういうのがどうも苦手〜というか弱き少女の方々は薄目で鑑賞するか、もしくは受験時に使った赤シートを引っ張り出してきて赤シート越しに鑑賞しましょう。

重要単語のごとく血が消えてくれます。
これで暗記もバッチリです!

と、冗談はさておき。
本題早々流血表現云々という話から始めてしまいましたが、実際僕がこの映画で語りたいところはそういったスプラッタなシーンではございません。まぁ一応そこも魅力ではあるのですが、それはまた後でということで。まず僕が言いたいのはここ。

「映画を作るまでの過程」

ここが好きなんです。
劇中、映画を作りたい男である平田も映画を作るまでの脚本作りとか演技練習とかクランクインするまでの過程が最高って話をするところがあるんですが本当にそうだと思います。ヤクザの武藤は奥さんのために娘主演の最高の映画を撮ろうとしている。そして平田は命を懸けてでも最高の一本を制作したいと思っている。

この最高の一本を作ろうとしている彼らは正直言って……

相当やばい。

マジでやばい。

頭がおかしいとしか言いようがない。


それなのに、何ででしょうか。この命を懸けてでも撮りたいという覚悟熱意にとてつもないエネルギーを感じて、観ているこちら側もテンションが上がってしまうんです。

それになにがすごいって「命を懸ける」って言葉が、この映画においては比喩表現ではなくマジで命を賭けることになるということ。先のあらすじでヤクザ抗争を撮影し映画にすると言ったと思いますが、抗争って結局殺し合いですからね……。日本刀を片手に相手の組を

斬って 斬って 斬りまくる!

そんな中にカメラを入れて撮影するんです。普通に人死にます。

え、最初そんなにたくさん人居たっけ?
って思うくらい死にます。
たぶんそこに居た人数より死んだ人数のが多いです。めちゃくちゃですわ。

ということで撮影に入ってからはスプラッタなわけです。ギャグテイストではあるんですけどね。アクションもなかなか格好良いし、観ていて純粋に楽しいシーンであります。後半はそんな感じ。

前半は「映画を撮るぞーっ!」
後半はそれらの想いを爆発させる。そんなイメージでした。

また、キャラクターが面白い奴ら揃いなんですよね。ヤクザのイメージ通り恐いシーンなんかもあるんですが、キャラクターがいい意味でバカなのでバランスが良いんですよ。

ということでこんな方々におすすめ

・笑いたい人
・わくわくテンションを上げたい人
・映画撮影をしたことがあってそれ自体が大好きな人

あ、あとこれもでした。

・セクシーな二階堂ふみを観たい方

これ、重要。


僕は健全な紳士なのでそういう目線でこの映画を観たことはありませんし純粋にこの映画が好きなのですが、みなさんの需要に応えたまででございます。僕の意思ではございません。

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興味がでた方は是非に。

それではまた!

 

小さな頭巾